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純粋に、「知りたい」そう思った。
唯一、和也が俺に与えなかったそれを、
この男は知っているらしい。
それが、悔しかった。
そっと二見の首に手を回す。
俺たちは棄てられた。今後一切、俺が、俺たちが和也に抱かれる日はこないのかもしれない。
それならば、1度でいいから、このシーツが和也の匂いをはらんでいる間に、燻っていた欲情を吐き出したい。
二見は一瞬目を見開いたかと思うと、口元のピアスをしなやかな指先で転がした。その指は彼の口元を離れると、俺の耳に触れ、もう埋まってしまっていたピアス穴の痕に爪をたてた。
ピリピリとした痛みが皮膚を伝う。
二見はその指をさらにすべらせて、
歯型のついた鎖骨をなぞり、舌を這わせた。
俺の上半身はとっくにむき出しで、身体の至る所をなぞられ、舐められ、時には桃を齧るように歯を立てられた。
和也が酔って帰ってきた、あの日を思いだす。俺がピアスを、過去を棄てたあの日を。あの時もこうやって、和也に身体中をまさぐられた。あぁ、あれはきっと和也の欲望の片鱗だったのだろうと、何故気づけなかったんだろう。あの日、理性が薄れた和也を前にして、俺が自ら身体を差し出していたならば、俺たちの関係は変わっていたのかもしれない。でも、俺は和也に与えられるばかりで、なにも与えることはしなかった。
いつまでも受け身の俺に、和也はきっと愛想をつかしたんだ。今になって、後悔の波が襲う。
「大丈夫や、痛みも全部気持ちよくなるから」
泣き止まない俺をうつ伏せにベッドに押し付け、晒された俺の背中を甘く齧りながら二見がそう言った。顔がシーツに埋まり、より一層和也の匂いを脳に運ぶ。ひやりとした液体が俺の窄みに塗られ、二見の細い指がぬちぬちと窄みをこじ開けた。
俺の前立腺を探り当て、指先で優しく撫でてくる。異物感なんてない。和也と離れていた2年間、本当は何度も、何度も自らの手で自分のそこを慰めていた。それでも、二見の指は自分とは違う触り方で中に触れ、慣れる間もなく急に激しい速度でそこを何度も叩いた。
他人に快楽の主導権を握られている感覚に身の毛がよだってしまう。前立腺からの快楽を拾い慣れていたはずなのに、抑えていても口から自然と声が漏れる。精一杯酸素を運ぼうと空気を吸えば、和也の匂いが脳を満たし、目をつぶればまるで和也にされているように錯覚してしまう。あぁ、和也、俺の全てだったのに。俺は傲慢に求めるばかりで、和也になにもしてあげなかった、ごめん。ほんとうに、ごめん。
「許してっ......」
涙が目尻に溜まる。なにも見ないままに腹の内部に溜まる刺激を感じていた。まだ達するに至らない内に前立腺を刺激する二見の指の動きが止まった。
足りない。直に触れる温度が足りない。欲しい。もっと、和也が欲しかった。もっと、もっと、俺に恵んでよ。そしたら俺も......
求めるままに二見に身を寄せると、固く熱を帯びた竿が二見の中心で存在を主張していた。
二見は「舐めてくれるん?」と言って、パンツのチャックをジリジリと下ろした。1枚の布越しに目の前に現れた性欲の象徴から目が離せない。おそるおそる、手を伸ばし布の上から触れる。俺は、本当はずっと和也のこれを受け入れてみたかった。
俺はいまから、和也の匂いを探しながら、
この熱に全身を焼かれるんだろうと、翳る脳の片隅で考えていた。
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