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慣れない手つきで二見の竿をパンツから出す。
二見のそれは彼の肌と同じように白く、ピンクの頭を際立たせていた。チロチロと舌を這わせ、性の熱を確かめる。自分でもわかるほど、竿に添えていた手が震えていた。指にはめていた指環がゆらゆらと弱い光に反射して煌めくから、否応にも和也のことを思い浮かべてしまう。そんな靄のかかった脳内は、初めての好奇心と羞恥心の狭間に揺れ、僅かに好奇心が勝ち、俺は口内でその熱を感じようと、二見の竿を唇で啄んだ。
「歯立てたらあかんで」
二見は俺の頭をさらりとなで、首の根元を指で摩った。まるでここまで入らせろと言われているようだ。それでも俺は、喉の奥までその熱を迎え入れるのが怖くて、口の浅いところで二見の竿を咥えその先端を舐めてやった。
「ヘッタクソやなぁ」
こんなんで三好は満足せんねんで。二見はそう言って、ずっと勃っていた俺の竿を足の指で扱きはじめた。二見の器用な足使いで転がされて、直接的な快楽が俺を襲う。
「んぁっ...」
思わず声が漏れて、喉が開いたその瞬間、二見は俺の頭を掴み、俺の喉をその竿で突き上げた。
「あ''っ!!おう''っ.....」
喉の奥が苦しい。漏れる嗚咽は濁ってしまう。
ゆっくりと、でも絶え間なく二見は俺の喉を貫いた。息もままならない。苦しい、ほんとに苦しい。けれど、どこか心地よかった。誰かの欲を受け入れるとは、己の性欲をさらけ出すとは、あぁこんなにも満たされるものなのか。
二見の腰の動きが俄に速まっていく。徐々に息をするのを忘れていき、脳が酸欠を起こした時、俺たちは同時に達した。
直接注がれた二見の精液が喉に張り付いて、また息ができない。ごくんっと喉を鳴らして、胃の中に精液を流し込み、二見の方を見上げると、息を切らした二見は悲しい顔でこちらを見ていた。
「ユウくん、あんなぁ、ピアス開けようか」
二見は引き出しから簡易なピアッサーを取り出した。少しサビかけた針が目につく。
「三好はな、セックスしながら穴を開けるんや。ボクはもう既に、お前のせいで穴ぼこになっとるいうのに。」
はははっ、あいつ可笑しいんよ。二見は乾いたように笑い、そのピアッサーを俺の耳にあてた。
「耳たぶはそんなに痛ないし、大丈夫やで。ユウくんにボクの知ってる三好を教えてあげたいだけやから。」
和也の欲。和也のセックス。俺が知らない和也。
どんなに酷く苦しい痛みでも、和也が俺に与えてくれるものだと思えばきっと、きっと幸福なんだろう。
「いいよ。」
俺は、二見の経験を追うように、その痛みを強請った。二見の指先に力が入り、俺の耳の肉に針を刺す。ピリッとした小さな痛みが走るが、その程度の痛みはもう気にならなくなっていた。俺の耳たぶに空いた穴を見る二見は、今にも泣き出しそうで、なんとなく切ない気持ちになった。
二見を包み込むように抱きしめてやると、肩の上で小さな嗚咽が聞こえてきた。そのまま俺たちは、狭いシングルベッドでふたり、息を潜めるように眠りについた。
翌朝、鏡の前に立つと、俺の身体は、二見につけられた歯型や跡がうっすら色づいていた。あの時、開けた穴を確認すると、元々あったピアス跡と綺麗に一致していた。
彼は横暴に振舞っていたつもりなのかもしれない。けれど、俺の身体に残った傷といえば、耳の穴と鎖骨についた歯型くらいで、他は簡単に消えてしまうほどの柔いものだった。きっと二見が和也にされてきたことのほんの一部にも満たないだろう。
俺は、二見のことを、ずいぶん勘違いしていたのかもしれない。彼は、二見はきっとたぶん、ほんとうに、酷く可哀想なくらいに、
優しい男だった。
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