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五日後、彩花がまた長崎に友人を送りに戻ってまたお店に寄った。
「疲れたわ」
「そりゃお疲れ。それでどこを案内したのさぁ」
「唐津の城下町や名護屋辺り……それとドライブで虹ノ松原なんかね」
名護屋は豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に拠点とした地域で虹ノ松原は
日本三大松原のひとつである。
「それと城下町を歩きたいって言ったから一緒に散策した」
「そっか……城下町って言っても感激する所はないだろ? 昔と違ってかなり寂れた街になったから」
「そうよねぇ……ただ唐津には魚屋町があるじゃない? そこの千鳥橋の分かるよね? 傍らにある日本二十六聖人の顕彰碑に行きたいって言ったから尚更なのよ」
「へぇ……」
唐津は京都で捕らわれ集められたキリスト教徒が長崎の地で処刑されるまでの道のりの道中であり顕彰碑のある場は唐津に彼らが降り立った場である。
意図せずここでも日本二十六聖人を感じることになった。そしてこの話を聞いた瞬間、また肩が重くなったのを感じた。
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