橋渡し人(びと)

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 引っ越してきた長崎で知り合った中華店のマスターから今度お店においでよと誘いを受けた。住んでいるところから距離にして店まで十キロ満たない程度だか歩くと約二時間掛かる。まだ長崎の町を詳しく知らない宏樹(ひろき)は町散策のつもりで歩いて店を訪れることにした。  四月とはいえ最近の陽気は暖かい。二キロ程度までは余裕だったが陽が昇るにつれ汗が吹き出した。やっぱり路面電車で向かえば良かったと後悔したが、しかしここまで来たならば意地だとの思いでなんとか店に辿り着いた。  マスターお勧めのチャンポンセットを頂き、客もいなかったことから雑談をし美味しかったと告げ店を出た。チャンポンの熱気で汗はひかなかったが水を煽ると一気に身体が冷えた。帰りは電車で帰ろうかと考えたが標識もあるしきつくなったらでいいかと思いまた徒歩で帰り始めた。
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