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ルイーダの酒場
ジャイアン問題が未解決なまま、当日が来る。
集合場所の世田谷タウンホールに到着し、待機場所に通されるとそこは『ルイーダの酒場』
いろんな武器を持った冒険者が集まっている。
サックスを横に抱えた魔術師たち、ユーフォニアムを磨く僧侶の一団、トランペットの武闘家軍団、ピアニカの踊り子などなど。自分の武器の手入れに余念がない。
教室のように並んだ机のひとつに座る。隣には、ジャンベを構えた戦士がいた。
ノースリーブの肩口のタトゥーをみて少しビビるが、『こちとら勇者じゃい!』と睨み返すと、ニッコリ笑って世間話をしてきた。
いい奴じゃないか? ワシのパーティーに入れてやろう。
音合わせの時間になり、地下にあるコンサートホールに降りる。
ブラバンお決まりのB♭でチューニングした後、課題曲をひと通り演奏して終わる。
まだ、たまにジャイアンが来る。
出番まで30分ほど、いつの間にか横に立っていたイギーさんが「ちょっと行きません?」と、自分の右手の人差し指と親指を丸くして口に付ける。
私は、飲み会のお誘いは絶対断ってはいけない、という親父の遺言を実行した。
勇者一行は、スタート地点の近くにあった大手チェーン中華屋にルーラして、ギョーザ、焼き豚、味玉などをツマミに、生ビール、ハイボールなんかを薬草の代わりに詰め込んだ。
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