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☆ ☆ ☆
その日の放課後。
ゴリべー部部室にて。
「おっ、そうそう、そのアウトローは流す意識で打てば良いんだよ。瞳ちゃん、なかなか筋が良いなぁ」
「そう? えへへ、そんなことはじめて言われた。嬉しいなぁ」
「そうなんだ。ゴリべー部の奴らは厳しいんだなぁ、酷い奴らだ」
「そうそうっ! 酷いんだよ〜、住ちゃんなんて、私のこと『最雑魚ちゃん』呼ばわりするんだから! あれは絶対ろくな死に方しないね!」
「それは酷いなぁ」
…………かの川島鉄平が、ゴリべー部の部室にいた。
ソファーに二人仲良く並んで座って、ゴリべーをしている。
そんでもって仲良く話している。
何だこの展開?
そういえばこの前、川島とすれ違った時、この棟で会ったんだったっけか?
川島のやつ、最初からここへ来るつもりではあったんだな。
「いやぁ〜、瞳ちゃんとゴリべーするの楽しいなぁ〜。いっそのこと、オレもゴリべー部に入っちゃおうかなぁ〜」
……は? 川島がとんでもないことを言い出した。
川島がゴリべー部に? こいつ野球部だろ?
「え〜、それはダメだよ。てっちゃん野球部でしょ? 一年生でレギュラーだって言ってたじゃん。将来有望なんだから、辞めたら勿体ないよ」
ホッ……徳川さんが断ってくれた。
良かった、何も考えず『入っちゃいなよ』とか言わないでくれて……。
それにしても『てっちゃん』か……。
デレデレし過ぎだろ、コイツら。
すると、徳川さんがオレの姿に気付いたようで。
「あっ、朝陽くん来てたんだ」
と、声を掛けてきた。
オレは返答する。
「今来たとこ……だけど、何で川島くんがいるんだ?」
一応、川島にも触れておくことにした。
おっと、川島もオレに気付いたようで睨んできたぞ? 怖い怖い。
徳川さんが答える。
「てっちゃんもゴリべー経験があるらしくてさ、教えて貰ってたの。凄いんだよ? てっちゃん教え方上手くてさぁ」
「……悪いな。オレの教え方が悪くて」
「あっ、いや、そういう意味じゃなくってね? え〜っと……」
おっと、少々棘のある言い方になってしまったか。
それにしても……。
何で少し、イラッとするのだろう?
モヤモヤする……何だ? この気持ちは。
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