【第三章】野球と恋、理想と現実

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☆ ☆ ☆  石井さんに言われるがまま、先にマックスバーガーへ足を運び、駐輪場のところで待っていると。  真顔のまま、とんでもないスピードでペダルを漕いでいる女子高生が突っ込んできた。  キキィーッ!! という甲高いブレーキ音と共に駐輪場へ駐車。  済ました顔をしたまま、石井さんは自転車から降り、ロックをかけている。  この人……やることなすこと、その地味目な顔に反してギャップがあり過ぎだろ……。 「待たせたかしら? ごめんなさい」 「いや、そんなに待ってないよ」 「そう、それなら良かったわ。さ、中へ入りましょう」 「お、おう……」  そんな訳で、オレと石井さんはマックスバーガーの中へ。  各々注文し、テーブルへ着く。  オレは『照り焼きマックスバーガー』のLセット。  石井さんは。 『マックスバーガー』のLセット。 『マックスバーガー』を単品で一個。 『ビッグマックス』を単品で二個。 『フィッシュマックスバーガー』を単品で一個。 『ダブルチーズマックスバーガー』をLセット。 『ダブルチーズマックスバーガー』を単品で一個。  …………え? 「マジっすか?」 「何が?」済ました顔で、まずは『マックスバーガー』をむしゃりとする石井さん。 「そんなに頼んで大丈夫か?」  Lサイズのドリンク二つに、Lサイズのポテト二個。  ハンバーガー各種、計七個。  ……心配にもなる。 「何が?」 「食べ切れるのか? ってこと」 「余裕よ」 「余裕なんだ……」  フードファイターかな? 「それより、あなたの方が心配よ」 「オレ……?」 「Lセット一つで足りるの?」 「全然大丈夫だけど……」 「照り焼きって甘いじゃない? 私としては、夕飯って感じじゃなくて、スイーツって感じなのだけれど……大丈夫?」 「照り焼きマックスバーガーが……スイーツ?」  オレには、理解できない領域だ。  そんな会話を交わしている内に、石井さんは『マックスバーガー』を一個、早くもたいらげてしまった。  早……。  次に『フィッシュマックスバーガー』へ手を伸ばしつつ、石井さんは言う。 「で? 何があったのかしら?」  二個目のハンバーガーを口にしつつ、本題へと入ることに。  オレは、ポテトを一個口に入れつつ答えた。
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