潮風がシャボンに惚れたら

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「……なあ俺と一緒に、船に乗らないか??俺ぁミミーと一緒が良い!!」  店の裏、真剣な表情で抱き締められながら話を聞くミミー。  しかし自分は海水を浴びればすぐに消えてしまう、普通の人間よりも儚いもの。 「ハレカゼ……私、海水が浴びられないの。死んでしまうから。それに……」  それにミミーは海賊の怖さや辛さを海の中でも知っていた。  海に落とされた海賊たちは、人魚たちが気付く間もなく命尽き、ポケットの銀貨一枚さえも失くし流れていく。  人魚たちはそんな海賊たちを海の墓場へ。  そこは暗く海深く、人間など近寄ることはできない。  要するに、海賊の仲間が弔いに行ける場所では無いのだ。 「……私の古い故郷で聞いた、恐ろしく悲しい場所よ。そんな場所、大好きになったあなたに万が一でも行ってほしくないって思ったの。ごめんなさい、せっかくあなたを好きになれたのに……私を、好きになってくれたのに……」  自分の腕の中で泣きじゃくるミミーを、彼は呆然と見つめる。 「そんな……」  今日までたった二日間の出会い。  しかし自分をそこまで好いてくれ、心配してくれる彼女は海水を浴びれば命を落とすという。  海賊は、海にしか生きられないというのに……
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