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「なに、一ノ瀬ってここでバイトしてんの?」
「見れば分かるでしょ?」
「いつから?」
「……先週」
仕事中なんだから教室の中みたいに気安く話しかけて来ないでよ。睨みを効かせても二宮は知らん顔で何処吹く風だった。
それどころか。
「つーかお客様の顔見たらいらっしゃいませだろ普通。客商売なめてんのか」
「い……いらっしゃいませ……」
逆に説教?
何この屈辱。ハラワタが煮えくりかえるんですけど⁉︎
「何で二宮がここに……まさか家が近いの?」
「何だよ、その嫌そうな顔は」
そう言うあんたも何なのそのドS全開の嬉しそうな顔は。
もー辞めたい。バイト始めたばっかりだけどギブアップ!
こんなのに毎日来られて、その度に「いらっしゃいませ」と言わされないといけないのかと思うと私のプライドがズタズタになってしまう。
「しょうがねえから何か買ってってやるか。別に買いたいもんとか特にないけど」
「ないならどうぞお帰りください!」
「あ。昨日発売のジャンプまだ一冊残ってんじゃん。ちょうど買い逃してたんだっけ……」
カウンターの斜め前のラックに陳列していた少年マガジン誌を手に取る二宮。どうでもいいから早く帰って。
「あと小腹空いたから弁当でも買ってこ」
いちいち口にしなくていいよ? 心の中でいちいち突っ込んでしまう私も同類だけど。
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