割と現実的

ここは現実

｢くぁ"……、はぁ、｣

大きな欠伸をひとつ。

寮と校舎を繋ぐ長く広い並木道を歩く。

｢おはよー！｣

｢おはよ！昨日のテレビでさー...｣

他の生徒たちの明るい会話を流し聞きながら
ワイヤレスイヤホンをつける

『ﾄﾞｭｰﾋﾟﾄﾞﾋﾟﾁｭﾊﾟﾊﾟｯ！ﾄﾞｰﾋﾟｭﾄﾞﾋﾟｭﾄﾞｲｪｲｲｪｲ！』

｢これってま〇くん総受けだよなぁ...｣

某有名歌い手5人による下ネタ全開のコラボ歌みたを爽やかな登校時にノイキャンで聞く……

最っ高に良い気分だな！！！！

｢何聞いてんだ？｣

｢うぉっ、！？...おい、いきなり取るのやめろしおすし｣

｢うわ、お前またこんなのばっか...もういい加減腐男子って名乗れば？｣

｢ちっげぇーし！！ただ2次元とボカロと歌い手と実況者と配信者が好きなただのオタクですし？！｣

背後から片耳のイヤホンを奪い取って勝手に聞いて勝手に引いているこの男は
八瀬田 平(やせだ たいら)
今年高校二年生になる俺の高校からの友達である。