III

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 もちろんこれは瓜生のUSBメモリに限ったことではなく、蜂起の開幕としてたくさんの活動家や工作員がイグジットを起動しての共同作業だった。  さらにイグジットは第二目標であるさまざまなサーバや通信網へと襲いかかる。  つけっぱなしのNHK教育(Eテレ)の画像がNHK総合に切り替わった。それまでの外国語番組が非常事態、国民の保護を──と。  それを合図のように、いよいよ武装蜂起がはじまる。  流れっぱなしのテレビには、都庁にロケット弾RPG-7が命中する様子が流れた。  そんな兵器まで持っていたのか、と瓜生は驚いた。と、同時に一〇(ヒトマル)式戦車にRPG-7はあまり通用しないのかもしれないと考えた。  瓜生も、そしていまは連絡のとれない土岐も、この蜂起の鎮圧になにをどこまで投入させるか予測がつかなかった。  左横へスクロールしてゆく各種ヘッドラインは、非常事態を告げていた。ある警察署内での署長への銃撃テロや、都内の信号が機能不全に陥ったこと、そして、市民はいま外出しないように、と。  機動隊ともみあう蜂起実行部隊。こっそり製作されたドローン、3Dスキャナで作った銃、そして手製の弾薬。陣形をとって距離を縮めてくる機動隊に火炎瓶が投げ込まれる。  だが、予想もしていなかった早さで、首相は自衛隊による鎮圧を命令した……。
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