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 もうすでに、ハッキング・ツール、イグジットはもとの実行ファイルすら消去し、適当な画像……たとえば猫の画像などを……USBメモリにダウンロードする。時刻はとっくに澪が通学に家を出たあとだった。  戦争のような蜂起がNHK総合の画面に映っている。  だが、RPG-7もまた、陸上自衛隊の戦力には蜂起の力も及ばなかった。RPG-7で履帯(りたい)を破壊させたり、戦車の動きを封じ込めても、120mm滑空砲 (かっくうほう)や車載機銃は蜂起した同志を一方的に虐殺する。  ありていに表現して、蜂起は失敗に終わった。  そして、瓜生家のドアホンが鳴る。  瓜生誠がほんの少し、ドアを開けると家宅捜査令状が見えた。彼は少しうつむき、うなずいてみせた。  警官たちと同時に警察の特殊部隊が数名、家のなかに押し入られ、瓜生誠と夏美に20式5.56mm小銃を突きつけた。書籍、パソコンに残る暗号化された瓜生の著作テキストデータ……などなど、警察や公安が見て反体制知識人である証拠を押さえられ、瓜生誠とその妻夏美はぶ厚い拘束服を着せられ、護送車に収容された。 「なぜだ……あんなに慎重に……」  黙ってろ、と警官が命令した。だが、その警官の上司なのか鷹揚な口調で、特別に教えてやるか、と。
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