雨の間にだけ活動するはずの泥棒が、なぜか今回ばかりは

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 するとあれよあれよと賞をとり、出版にこぎつけ、泥棒はいつしか泥棒をやめて作家になったのだった。  一方売れない作家は、書いた原稿を編集者に送ったが、梨の礫で連絡は来ず、再び別の作品を書くために引きこもる生活が始まった。  自分の書いた小説が賞を取り、泥棒が自分の作品をも盗んでいたことは知らないまま、作家は自分の才能のなさに絶望しながらも、執筆をやめられずにせっせと書き続けていた。
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