雨上がりの告白

6/6
前へ
/6ページ
次へ
「……太陽、」 「うん?」 「今、隣町に行ってもって、言った?」 「うん、そうだよ」 「引っ越しって、隣町?」 「うん」 「じゃあ、学校は?」 「ちょっと遠くなるけど、なんとか頑張って卒業まで通うよ」  ニコニコと笑顔の太陽の背中越しに青空が広がっていく。雨上がりの空には太陽がいる。  きっと、私の後ろには虹が架かっている。 「もうっ! ずっと遠くに引っ越しちゃうんだと思ったじゃん!」 「それってさ、風ちゃんも僕と離れたくないって思ってくれてたってこと?」 「そーだよ! 毎日、私だって太陽が隣にいるから楽しいんだよ。今日の酷い雨だって、太陽と一緒なら、私には憂鬱でもなかったし、鬱陶しくもなかった」  両手の握り拳で太陽のお腹を何度も叩く。  本気で離れ離れになってしまうんだと思った。もう、太陽と学校で会えないんだと思った。そんなの、寂しいに決まってる! 「……ごめん、僕、自信がなくて。でも、これではっきり言える。風ちゃん、僕と付き合ってください」 「……うん。うん、うん、うん」  雨はようやく上がったのに、あたしの目からは大粒の涙がこぼれ出す。  全然止まらなくて、だけど嬉しくて。この涙が晴れたら、きっと雨上がりみたいな虹色の、どこまでも青く晴れやかな気持ちになれるんだと思った。 「ずっと大好きだよ、太陽」  太陽の煌めきが虹色を作り出す。もう、雨も晴れも太陽も全部大好き!  牡羊座の今日のラッキーアイテムは「告白」だって思い出した。  これもアイテムなのかなと、首を傾げてしまうけれど、雨上がりの告白はとても素敵だった。  一位と最下位のあたし達なら、きっとプラマイゼロだ。   傘を閉じて、手を繋いだ。青い空が反射した水たまりを避けながらゆっくり坂道を下っていく。これからもずっと、一緒にいようね。 fin♡
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加