天気雨の女

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めんつゆを布バッグに入れて不穏な空の下を歩く。 そこへ雷の爆音が鳴り始めた。 「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ......」 獣の咆哮のような雷、それが増すごとに雨がポツポツと降り始めて 豪雨へと変化した。 濡れて家に帰ってもよかったけれど、買い替えたばかりのスマホに ダメージがくるのは避けたい。 僕は近くの民家の軒下へと非難した。 その途端に殴りつけるかのような激しい雨になり、間一髪だったと 安堵する。 そしたら。 「こっちゃん?そこにいるのは、こっちゃんなの?」 にごりの無い澄んだ声がした。 知らぬ間に白いワンピースを着た女性が、隣に立っていた。
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