49日目の水たまり

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このところ僕の見る夢は、いつも雨降りだ。 心が寂しくて悲しくて苦しくて......。 その現れだと思う。 親友だったクラスメイトが病気で死んでしまった。 木内秀夫(きうち ひでお)は、たったの10年しか生きられなかった。 僕はショックで寝込んで学校を休んでいる。 「隆(たかし)おねがいだから、ごはんは食べて......」 母の運んでくる食事を、少ししか食べない。 入院する話しが出たけど断った。 たまに遊びにきていた秀夫、お気に入りの対戦ゲーム。 白熱して僕に勝つまで繰り返した。 ひとりで夢中になってたダンジョン攻略ゲーム。 病気なのを忘れたみたいに、ゲームをやってると生き生きしていた。 「隆のお母さんは料理が上手だよなあ、 それも、こっちに来るのが楽しみなひとつ。 隆、どんどん食えよ!」 そんな秀夫の思い出の残る部屋にいたい。 そして眠ると秀夫が出てくる。 目を覚ますと泣いている。 現実はイヤだ、夢の中がいい。 僕は眠ってばかりだった。 「あれ?」 いつも雨降りの夢なのに雨が上がっている。 晴れた空の下に水たまりができている。 その水たまりの上に秀夫が立っていた。
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