愛しの王子様

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愛しの王子様

 愛しの王子様。イケメンで、優しくてちょっと優柔不断な王子様。  ずっとずっと、何年も前からお慕いしておりました。  しかし私は魔女で、あなたは人間。  決して結ばれることはないことは知っております。  せめて、どうかせめて、私から王子様へ、とびきりのプレゼントを届けたいと思うのです。  年頃の王子様ですもの。素敵な女性なんかどうかしら?  勿論、あなたはとてもモテモテですから、わざわざ私がお節介をやかなくても、恋人になりたい女性なんて掃いて捨てるほどいらっしゃるでしょう。  しかし、私はずっとあなたを見ていたから知っているのです。あなたはかなり、好きな女性のタイプが面倒くさいことを!  まず、見た目です。勿論、あなたは面食いです。美しい人でなければもう書類審査落ちです。  あと、女子なら最低限の家事もできて当然と思っている、時空と時代が違っていたら絶対炎上しそうな思想の持ち主です。  そして、ファッションセンス。勿論去年のドレスなんて着てる子なんか興味はありません。  だからといって、みんなと同じような量産型女子なんか全然だめ。少しは、おっ?何そのセンス、みたいな攻めの姿勢を見せてやらねばなりません。  あと、あなたは……そう、足フェチです。  あなた好みの足の持ち主でなければもうアウトです。そうですよね?  そんなあなたにピッタリの女性を見つけました。  美人で、家事ができる女性です。  ただ、彼女のファッションセンスはよくわからないので、私が最新のドレスを見繕って着飾って差し上げます。さらに、彼女の乗る馬車なんか、きっと王子様が見たことないデザインで作ってご覧にいれましょう。  そして一番大事なところ。  彼女は、あなたの好みである、とても小さな足をしておりますよ。  この足に、キラキラ輝くガラスの靴を履かせて差し上げます。  ほら、王子様。    私の贈り物、今からお届けしたいとおもいますわ。    私は愛しの王子様を想いながら、プレゼントの如く包装したシンデレラを、かなり攻めたデザインであるかぼちゃの馬車に乗せるのだった。 END
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