13番目の呪われ姫とご挨拶。

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「あのお兄様が」 「素直にヒトの意見を聞いた」  2人は伯爵の目とは全く違うアクアマリンの瞳を瞬かせたあと、目配せをする。  女性にいくら言い寄られても冷たくあしらってきたあの兄が。  秘密主義で大事な事は全部事後報告のあの兄が!  お人好しさ故に気づけばいつも面倒ごとに巻き込まれ、そしてほぼ自力で解決しヒトの意見なんか聞く耳を持たなかったあの兄が!!  やり込められている、だと!?  ふっ、と笑って一歩前に出たベルは、とても綺麗な動作でカーテシーをして見せると、 「ようこそ、ストラル伯爵家へ。お義姉(ねえ)様とお呼びしてもよろしいでしょうか?」  ぎゅっとベロニカの手を取ってよろしくお願いいたします、と営業スマイルを浮かべてそう言った。 「……ベル。お前今頭の中で算盤弾いたろ」 「そんな! お兄様。私はただお義姉様を味方に付けといた方が今後絶対的に有利だな、と思っただけで……いたたたたたたっ!! ちょっ、お兄様痛いです! 頭ぐりぐりやめてぇ!!」  長いモノには巻かれる主義なだけですぅとベルはギブギブと伯爵に訴える。  そんな兄と姉のやり取りを尻目に、 「お姉さんとは5年ぶりにお会いしますね」  こそっとハルはベロニカに笑いかけた。  5年前。ベロニカは一度だけ伯爵の会社でアルバイトをした日に伯爵家を訪れた。勿論、その時は認識阻害の魔法をかけていたので、今とは違う姿に見えていたはずだ。  ベロニカはこの世界では珍しい魔法という特殊な体質を持っている。そしてそれを無効化できる人間がいる、と聞いたことがある。  ふむ、と頷いたベロニカは楽しげに金色の目を瞬かせたあと、唇に人差し指を当ててしぃーと笑う。 「あらあら、まあまあ! あなたも厄介な体質をお持ちなのですね」  いつでも相談にのりますよ、と言ったベロニカに、 「兄のこと、末永くよろしくお願いします」  ハルは可愛いらしく頭を下げた。  その後、無事伯爵の母にも挨拶できたのだが、結婚を事後報告にしようとしていた件がバレてすごく怒られた上に、酒豪の母から酔い潰れるまで付き合わされた伯爵が二日酔いでダウンするのも。  そんな伯爵の代わりに母の晩酌に付き合って全く酔わないベロニカが伯爵の母に気に入られるのも。  弟妹が伯爵家の序列ランキングを改めベロニカ最強説を推すのもまた別のお話である。 ⭐︎あとがき 久しぶりに呪われ姫書きました! よろしければ、呪われ姫シリーズや、 第一話→https://estar.jp/novels/25820181 伯爵の妹の話 「結婚しないために婚約したのに、契約相手に懐かれた件について。〜契約満了後は速やかに婚約破棄願います〜」 →https://estar.jp/novels/25695301 も読んで頂けると嬉しいです╰(*´︶`*)╯♡
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