詩を歌えば雨上がり

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2 「それで、歌で皆の笑顔を取り戻すって、どうするの?」 「うーん、美咲は案ある?」 私と美咲は手を顎に当てて、うーんと唸りながら考えて考えて考えた。それでも案が出なかったから諦めようかと話していた。その時、美咲があ!って大声を出した。 「なになに?いきなり」 「ユーチューブとかライブとかで配信するのとか!」 「顔出すの?」 「顔隠し系の人いるじゃん、それだよ」 確かにいい案だ。でも、カメラとかパソコンとかで編集する費用なんてない。 「私、家にパソコンあるよ。それで編集とかすればいいんじゃない?私、奏の歌を配信するアシスタントなんで!」 「いやいや、アシスタントっていうよりかはペアメイトだよ」 美咲は歌うことはできないかもしれない。だけど詩を書くことができる。私は中途半端な詩しか書けないから、詩を書ける美咲がそばにいてくれれば私達の大作戦は成功に至るかもしれない。 私は美咲に希望を持つことを伝えた。 美咲の家からパソコンを取って私の家で画面を開く。 「作曲とかに向いてるアプリ知ってるよ、ダウンロードしとく」 「うん!アプリって?」 アプリの名前はソングメイカーらしい。初めて聞いた。アプリをダウンロードした美咲は、作曲する前にまずは歌詞を書かないとねと言った。 「歌詞の内容は雨上がりでしょ?」 「うん、心の雨を晴らすためだから...最初ちょっとゆっくりで静かな感じだけど、サビに入ってから明るくなる感じは?」 「それいいね!奏センスあるじゃん!」 ルーズリーフに歌詞を書き始める。美咲は詩とか短歌とかを書くセンスがある。普段から書いているらしい。それが理由なのか、ルーズリーフにある文字はたったの五分で歌詞になった。 『窓の外 雨が降っている  心の中雨が降っている  傘もささずに 走り出した  誰かの声が 聞こえてくる  遠くの方から 届くメロディー  いつも通りの いつもの朝  だけど今日は 少し違う  心がざわめく 胸がドキドキ  新しい何かが 始まってる予感  詩を歌えば 雨上がり  雲間から 光が射す  未来は きっと明るい  もう泣かないで 笑って  雨上がりの 虹を見上げ  深呼吸して 大きく胸を開く  どんな困難も 乗り越えられる  君なら きっと大丈夫』 「なにこれ、完璧じゃん!美咲天才!」 「まあねえ」 「それじゃあ、私がメロディーつけるから!」 「奏にバトンタッチ!」 そう言って私は十分かけて美咲の詩にメロディーと音程をつけた。
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