詩を歌えば雨上がり

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3 メロディーを付け終えてアカペラで歌う。それに合う楽器とリズムとかを美咲が創る。最初は静か、その後に明るくなる。 そういう設定だからアコースティックギターの音を中心としてピアノとドラムを使って作曲をした。 作曲自体美咲も趣味としていたらしい。いくら趣味だからといって楽譜とかを作ったりするのに一週間ちょっと。楽譜通りに楽器を引いて音声データをパソコンに残すことに四日ぐらいかかった。 美咲によると、プロの作曲家よりはクオリティが低いから、まあまあ短時間で曲を完成できたらしい。私の耳に届く美咲が作った曲は相当クオリティが高かった。 「どこがクオリティ低いの!十分に高いじゃん!」 「いやいや、短時間で作ったんだから低いよ」 首を大きく左右にふる美咲なんだから。思わずプッと噴き出して爆笑した。 なんで笑うのって怒る美咲についついと返事をしてお腹を支えて笑う。 そこに私のお母さんが部屋に入ってきて暗い顔で呟いた。 「良いわねあなた達、なんでそんなに笑えるのかしら。こんなご時世に笑えるのあなた達だけよ」 そんな事を言って部屋を出て台所に向かったお母さん。ついさっき私と美咲の曲が完成した。もし私達の作戦が成功するのなら、この曲でお母さんは明るくなるかもしれない。私は美咲を連れて、美咲のパソコンを持ってお母さんがいる台所に向かった。 「お母さん、聞いてほしいことがあるの」 「あら、奏。どうしたの」 「これ、美咲と創った曲で。聴いてほしい」 「あら美咲ちゃん、創ったの本当?」 「はい!奏と一緒に創ったので聴いてほしいんです。いいですか?」 「ええ、いいわよ」 曲を流すと、美咲が創った綺麗な曲と私の歌声が空気に乗って流れた。リズムに乗って肩を揺らしているお母さん。 目を瞑って気持ちよさそうに私達の曲を聴くお母さん。さっきまで凄く暗い顔だった顔が少しずつ笑顔になってきている。 曲が終わった。 「お母さん、どうだった?」 お母さんは満面の笑みを浮かべて、『凄いいい曲!』って褒めてくれた。 「奏と美咲ちゃんセンスあるわ!なんか今までの暗い心が晴れたわ!」 それを聞いて私と美咲はピョンピョンとハイタッチしながら跳ねた。 「私達の曲が成功したよ!奏これ凄いよ!」 「そうだよ!美咲!頑張ろう!」 私と美咲の曲はお母さんをはじめ、心の雨を晴らすことが可能だってことがわかった。次は、これをどうやって皆に広げるかを考えなきゃいけない。 「普通にユーチューブで配信するのがいいんじゃない?」 「でも、有名にならなきゃ皆に見てもらうの大変だよ?」 私と美咲は五分ぐらい黙って考えていた。でも正解が見つからない。そのときお母さんが口を開いた。 「奏はインスタ持ってるでしょ?ライブ開いたりして歌ったり、宣伝すればいいじゃない。あなたフォロワー多いんでしょ?」 「確かに!奏、フォロワー数五百人超えだし。宣伝すれば広がりやすくなるかもよ」 「本当に?」 私の中にはちょっと不安があった。 「大丈夫、美咲ちゃんとお母さんがついてるわ。あなた達二人の曲が広がることを応援するわ」 「ありがとう」 私と美咲はインスタを開いて私達二人が活動するためのアカウントを作った。
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