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暇つぶしに結婚しちゃう?
まばゆいばかりの流星群が夜空に煌めいた。
「おおォ!」
思わず感嘆し唸るような声がそこかしこで発せられた。
ペルセウス座流星群が夜空を彩っていった。
史上空前の天体ショーだ。
ボクは元教え子のラブリと一緒にペルセウス座流星群を自宅のベランダで眺めていた。
ボクの名前は明日葉トモロー。
そして彼女は、如月ラブリと言ってボクが教育実習生だった時の教え子だ。
以来、妹のように懐かれてしまった。
可愛らしいので悪い気はしない。
だが、こんな関係が世間に知れ渡ればタダではすまないだろう。
ペルセウス座流星群を見終わったあとラブリは突然、ボクの部屋へ泊まると言い出した。
もちろん始めは『ダメに決まってるだろう』と拒んだが、ラブリの家庭はかなり厄介なので無下に追い出すわけにもいかないようだ。
まったく泣く子と地頭には叶わない。
結局、泣き寝入りといった感じだ。
ラブリは遠慮なくボクのベッドで寝転がってくつろいだ。
ボクの方が遠慮がちにベッドのワキの方に陣取っていた。
「ねえェ、トモロー?」
いきなり元教え子のラブリが密着してきた。
まるで濃厚な香水みたいな甘美な香りがボクの鼻孔をくすぐってきた。
「ううゥッなんだよ。暑っ苦しいから、ベタベタして来ないでくれよォ」
これ以上、むやみに密着していると欲望に押し流されそうだ。
それでなくてもおかしな気分だ。
ペテルギウス流星群のせいなのだろうか。
隕石にラブリーウイルスが付着してあったのか、一気にパンデミックが起きそうだ。
甘美で蠱惑的な匂いを嗅いでいると欲望を抑えきれなくなってくる。
「ねえェ、つまんないよ」
ラブリはバシバシとボクの二の腕をパシパシと叩いた。
「あのねえェ、痛いって!」
もちろん軽い猫パンチだが、何度も叩いてくる。
まるでかまってちゃんだ。
「退屈じゃん。どうにかしてよ」
「いやァどうにかしてって。勝手にボクの部屋へ転がり込んできて。そんなことを言われても」
ボクにはどうすることもできない。
「じゃァ、暇つぶしに結婚しちゃう?」
「えェ、な、な、なにィーー、結婚?」
マジか。
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