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ラブリ
「卑しいだよ。いやらしいじゃなくって!」
「ふぅん、ねえェ、トモロー。わざわざゲストが来たんだから何かないの?」
だがラブリはボクのクレームなどいっさい聞く耳を持たない。
遠慮なしに家の中へ入り込んだ。
勝手知ったる他人の家と言うやつだ。
すぐにラブリはキッチンへ向かった。
「いやァ、わざわざって、無理やりボクの家へ転がり込んで来たクセに!」
こっちが頼んで呼んだ訳ではない。
小悪魔みたいに図々しい。
「じゃァ、モンブランのケーキで構わないわ。フンフフゥン♪」
鼻歌を歌いながら、許可もなくキッチンの冷蔵庫を開けた。
「いやァねえェよ。都合よくモンブランのケーキなんて!」
「あらァ、ちょうどチョコレートのショートケーキがあるじゃん。戴きたいマンゴー!」
ワケのわからない掛け声でショートケーキを取り出した。
「おいおい、なにがちょうどだよ。ボクがあとで食べようと冷蔵庫に仕舞っておいたんだろう」
せっかく買って取っておいたケーキだ。
ボクはアルコールが苦手な代わりに大の甘党だ。
ケーキも大好きなのでおやつに食べようと買っておいたのだ。
「だって、ラブリはチョコレートのショートケーキに目がないタイプじゃん」
「あのねェ。どんなタイプだよ。ボクだって大好きだから買ってきたんだろう」
「いいから、いいから!」
ラブリはボクの忠告など無視だ。ニコニコしてショートケーキを小皿に盛りつけた。
「おい、ラブリ。わかったから半分残しておけよ」
せっかく一人で食べようとしたのに。
「わかってるわよ。ラブリのケーキはラブリのモノ。トモローのケーキもラブリのモノでしょう!」
「なんだそりゃァ。ジャイアンか?」
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