ラブリーウイルス

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ラブリーウイルス

 リビングでくつろいでいると、つけっぱなしのテレビからニュースが流れてきた。 『今夜、ペルセウス座流星群による大規模な天体ショーが夜空を彩る模様です』  女子アナがニュース原稿を読んだ。    アナウンスと共に過去のペルセウス座流星群の画像が流れた。 「キャッキャッ、ねえェ、トモロー。キレイねえェ。今夜の天体ショー楽しみじゃん」  ラブリは、まるで少女のように。  仔猫のようにボクの腕にしがみついた。 「ふぅん、ペルセウス座流星群か。まァ花火大会みたいなモンだろう」  世紀の天体ショーのブームなのだろうか。  世の中、騒ぎすぎている。 「なによ。ロマンがないわねェ。恋人たちが一緒にペルセウス座流星群を見ると結ばれるって都市伝説があるのよ」 「へェ、マジで?」 「マジマジ、今、ラブリが作ったんだけどねェ」 「なんだよ。そりゃァ、都市伝説を勝手に作るなよ」   「ほらァ、日本って今、少子高齢化が急激に進んでるじゃん」  珍しくラブリも社会問題を取り上げた。 「まァ日本人の生涯未婚率も70%を越えてさらに若者になるほど未婚率が高いっていうしねえェ」  確かに危機的な状況だ。 「やっぱラブリーウイルスをばら撒くしかなさそうね」  小悪魔のように何かを企んで微笑んだ。 「おいおい、バカ言ってろよ。ラブリーウイルスなんか。それこそSFの映画世界だろう!」  一説によると媚薬に似た効果らしい。  SF映画によれば、地球に降り注いだ無数の流星群の中にラブリーウイルスと呼ばれる宇宙ウイルスが付着してあり、一気に拡散していくと言うストーリーだった。 「そうかしら。ラブリーウイルスに感染するとポンコツ教師が、ものスゴく魅力的に見えるらしいわよ」  笑いながらボクにちょっかいを出してきた。 「いやァ、なんだよ。ポンコツ教師って。ボクの事かよ!」  もしラブリーウイルスがあれば、ボクとラブリの仲も一気に加速するかもしれない。
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