4人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
時生がその店の情報を聞いて、そこでバイトしているという女子がドリンクフリーチケットをくれて、ほくほくした気持ちで大学を後にした。
「おまえ、マジか」
サトルはちょっと戸惑うように、時生の車椅子を車の後ろに積んでから運転席に入ってきて言った。
助手席で待っていた時生はうなずいた。
「うん、いつか食ってやろうと思ってた」
「そうか……そこまで来たか」
「でも、失敗したくなくて、迷ってた。不味かったら何か金出したのも悔しい気がして。でも高級店に行くのも違う気がして、どこがいいのかなぁってずっと思ってたから、ちょうどいい話だった」
「へぇ。そうか……4年?」
サトルはしみじみと言って、エンジンをかけた。
「そうだな、年末で丸4年」
「4年で食えるようになるんだな」
「なったね、なるもんだね」
時生が自分の足を見て笑うと、サトルもちょっと嬉しそうに笑った。
「おまえの家族とかも喜ぶんじゃねぇ?」
「どうかな。一応、食ったら言うよ。食ってやった、って感じで」
「食ったどーって」
「うん、そういう感じで」
時生は楽しみになってニヤッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!