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 時生がその店の情報を聞いて、そこでバイトしているという女子がドリンクフリーチケットをくれて、ほくほくした気持ちで大学を後にした。 「おまえ、マジか」  サトルはちょっと戸惑うように、時生の車椅子を車の後ろに積んでから運転席に入ってきて言った。  助手席で待っていた時生はうなずいた。 「うん、いつか食ってやろうと思ってた」 「そうか……そこまで来たか」 「でも、失敗したくなくて、迷ってた。不味かったら何か金出したのも悔しい気がして。でも高級店に行くのも違う気がして、どこがいいのかなぁってずっと思ってたから、ちょうどいい話だった」 「へぇ。そうか……4年?」  サトルはしみじみと言って、エンジンをかけた。 「そうだな、年末で丸4年」 「4年で食えるようになるんだな」 「なったね、なるもんだね」  時生が自分の足を見て笑うと、サトルもちょっと嬉しそうに笑った。 「おまえの家族とかも喜ぶんじゃねぇ?」 「どうかな。一応、食ったら言うよ。食ってやった、って感じで」 「食ったどーって」 「うん、そういう感じで」  時生は楽しみになってニヤッと笑った。
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