Prologue

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 穴を掘るのは好きだ。  無心でいられるから。  他のことを何も考えなくていい。  現実を見ると苦しくてたまらない。でも、穴を掘っている間は何も考えなくていい。汗が伝う。白い息を吐く。夢中になって掘っているうちに、思っているより深い穴になってしまった。浅いよりはいいと思う。だって土に返すつもりだから。土は暖かい。    それから埋める。  その後、目印を作る。  どこに何を埋めたか、後からわかるように。  淋しくなったとき、どこに誰がいるかわかるように。  僕もいつか土になる。
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