4人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
Prologue
穴を掘るのは好きだ。
無心でいられるから。
他のことを何も考えなくていい。
現実を見ると苦しくてたまらない。でも、穴を掘っている間は何も考えなくていい。汗が伝う。白い息を吐く。夢中になって掘っているうちに、思っているより深い穴になってしまった。浅いよりはいいと思う。だって土に返すつもりだから。土は暖かい。
それから埋める。
その後、目印を作る。
どこに何を埋めたか、後からわかるように。
淋しくなったとき、どこに誰がいるかわかるように。
僕もいつか土になる。
最初のコメントを投稿しよう!