0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「あなたは誰、どうしてここにいるのですか?」
私が話しかけるとその少女が、
「お姉さんには私の姿が見えるのですか?
私は死んでいるようなの…
私は『天音(あまね)』、会いたい人がいるんだけれど会えなくて、ずっとここにいるの…」
と話してくれた。
私は落ち着きを取り戻していて、天音ちゃんにもっと詳しく事情を聞くことにした。
「私は麗、よろしくね!
会いたい人というのは、誰ですか?」
私が質問すると天音ちゃんが、
「私のお姉ちゃんだよ!」
と教えてくれた。
私は天音ちゃんと天音ちゃんのお姉さんのことを、いろいろと聞き出した。
天音ちゃんは平成16年生まれの10歳の小学校4年生で、天音ちゃんのお姉さんは2歳年上の『風音(かざね)』さんという名前で、鳴沢村に住んでいるようだった。
今は令和6年だから、天音ちゃんは年を取ることなく10年間ここにいたことになり、天音ちゃんが生きていたら今年で20歳になっているはずだ。
「天音ちゃんのお姉さんのことを探してみるね!」
私が天音ちゃんにこう伝えると、天音ちゃんは嬉しそうな笑顔になって、
「ホント、嬉しい!」
と喜んでくれた。
すると天音ちゃんの全身が急に光り出して、
「麗さん、お願いします。
また会いましょう!」
と言ったかと思うと、天音ちゃんの体は霧に包まれて見えなくなり、スーっと上に向かって消えていった。
私は天音ちゃんには、何か深い事情がありそうだと感じていた。
その後、私は鳴沢氷穴を出て、車で帰宅した。
最初のコメントを投稿しよう!