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鳴沢村は人口3000人程度の小さな村だから、天音ちゃんのお姉さんを探すのは何とかなるだろうと思っていた。
翌週の平日、私は会社で有給休暇を取得して鳴沢村立鳴沢小学校に足を運んで、教務課で事情を話して平成26年頃の小学4年生の天音ちゃんのことを調べると、その年の8月に事故で他界したとなっていた。
また、平成26年度の卒業アルバムを見せてもらうと、そこに天音ちゃんのお姉さんの風音さんの写真があって平成27年3月卒業となっていた。
私は卒業アルバムに記載されていた風音さんの住所に足を運んでみることにした。
次の会社が休みの土曜日に、私は風音さんの家を訪ねてみた。
私の家から車で20分ほどの一軒家で広い庭があったため、車を庭に停めさせてもらって玄関のチャイムを鳴らした。
少しすると20代と思われる女性が出てきて、私は先日鳴沢小学校で見た卒業アルバムの風音さんの面影があると感じた。
私は自己紹介してから、
「失礼ですが、風音さんですか?」
と尋ねると、風音さんは驚いたように、
「はい、そうですけど…」
と少し不思議そうに答えてくれた。
私が風音さんの妹の天音ちゃんと会ったことを話すと最初風音さんは、まったく信じてくれていないようだった。
それでも私が、天音ちゃんの特徴を詳細に話し出すと、うすうす私の話が本当なのかもしれないと思ってくれたようだった。
私は、
「私の話は、信じてもらえないかもしれませんが、私と一緒に天音ちゃんに会いに行ってもらえませんか?」
と話すと風音さんは、
「少し考えさせてもらえませんか?」
と話してくれたので、私はメモ帳に私の連絡先の電話番号を書いて風音さんに渡した。
そして私は丁寧に挨拶して、玄関を出て車で自宅に帰った。
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