雨上がりの虹のかけ橋

6/10

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
それから2週間程した8月初旬のある日の夜、私が仕事から自宅に帰ると風音さんから電話が入った。 その時風音さんは、 「もし本当に天音に会えるのでしたら、私は天音に謝らなければならないことがあります。  ですから、私を天音と会わせてください。」 と少し言葉を詰まらせながら話してくれた。 私は快く承諾して、会えそうな日に連絡をすると約束をした。 さらに2週間後の8月下旬の日曜日、この日は朝から強い雨で仕事が休みだった私は、自宅でのんびり過ごしていた。 しかし12時を過ぎると雨足が急に弱くなって13時を過ぎると、さっきまでの雨が嘘のように日が出てきた。 私が窓を開けて外を見ると、天音ちゃんと会った7月の日と同じような大きくてはっきりとした綺麗な虹が出ていた。 天音ちゃんと会うなら今日がチャンスではないかと思った私は、さっそく風音さんの自宅に電話をした。 すると電話口に風音さんが出て、風音さんも今日は仕事が休みで自宅にいるから出かけることができるという話だった。 私はさっそく着替えて車で風音さんの自宅に行き、助手席に風音さんを乗せて青木ヶ原の樹海入り口に向かった。 青木ヶ原の樹海入り口に到着すると駐車場に車を停めて、ここからは歩いて鳴沢氷穴に向かった。 遊歩道に沿って青木ヶ原の樹海をしばらく歩くと鳴沢氷穴の看板を見つけ、私が先導して風音さんと中に入った。 少し足を踏み入れただけで中は暗く、私はあらかじめ用意しておいた懐中電灯のライトの光を頼りに奥へと進んでいった。 さらに奥へと進んでいくと少し広い場所に出て、上に穴が開いているようで少し光が差し込んでいる場所にたどり着いた。 私が辺りを見回していると先日来た時と同じように奥の壁際で青白くぼーっと光っている場所があることを見つけた。 きっと天音ちゃんだと思った私は壁に近づきながら、 「天音ちゃん」 と呼びかけた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加