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「麗さん」
天音ちゃんの声が聞こえたかと思ったら、白い着物を着た天音ちゃんが立っていることに気が付いた。
「天音ちゃん、お姉さんを連れてきたよ!」
私が話しをして風音さんの腕を取って天音ちゃんの前に立つように促すと、風音さんは驚いたような表情をしていた。
それは、まぎれもなく10年前から時間が止まったままの天音ちゃんの姿だったからだ。
「天音」
風音さんは少しためらいながら話を続けた。
「天音、ごめんなさい!
私が青木ヶ原の樹海で遊ぼうなんて言わなければ、天音は死なずにすんだはずだよ!
全ては私のせい…
本当にごめんなさい!」
風音さんがこう言うと天音ちゃんが、
「お姉ちゃん、あの日の出来事は事故だったんだよ!
お姉ちゃんは何も悪くないよ!」
と風音さんをかばうように言葉をかけた。
「天音、もう取り返しがつかないことになって、私はどうしたらいいのか分からないまま、ずっと悩んでいたんだよ!
私も天音の後を追って、自殺しようと考えたこともあったけれど、いざとなると死ぬのは怖くて死ねなかった。
せめて天音に謝りたいと思っていたんだよ!」
と風音さんは涙をこぼしながら話をした。
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