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「お姉ちゃん、これで私は天国に行けるみたいだよ!
お迎えが来たみたい…
お姉ちゃん、私の分も楽しく生きていってね!」
天音ちゃんがこう告げると天音ちゃんの体が光り出して、まぶしさで姿が見えなくなると、その光は上の洞窟の穴へ消えていった。
風音さんはずっと上を見つめていて、天音ちゃんを送り出しているようだった。
辺りが暗くなって風音さんが落ち着きを取り戻したと感じた私が、
「そろそろ帰りましょうか?」
と風音さんに声をかけると、
「今日は本当にありがとうございました。」
と深々と頭を下げて、お礼の気持ちを伝えてきた。
私が懐中電灯で足元を照らしながら鳴沢氷穴を出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
青木ヶ原の樹海入り口の駐車場に停めてある車に乗ると、風音さんが天音ちゃんが亡くなったいきさつを話してくれた。
風音さんの話では、風音さんが天音ちゃんを誘って青木ヶ原の樹海に遊びに来た。
風音さんは少し探検するような気持で来ていて、安全な遊歩道ではなく、崖を登ったり下ったりするような少し危険な遊びをしていた。
天音ちゃんも風音さんにまけじと崖を登ったり下ったりしていて、そんな時天音ちゃんが足を滑らせて転落し、頭を強く打って怪我をしたらしい。
風音さんはあわてて青木ヶ原の樹海を出て、大人の助けを呼び救急車で風音さんを病院に運んだけれど、助からなかったという話だった。
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