6 あなざーわーるどへ行きましょう

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6 あなざーわーるどへ行きましょう

翌日。俺はクララとの待ち合わせ場所に来ていた。 パチ公前集合というなんともありきたりで護衛しにくい場所を選びやがったので、多少不機嫌だ。 ま、彼女のGPSで常に場所は知っている。どうやらだいぶ前からいるようだが…何かあるのか? パチ公前まで行くと、彼女を見つけるのは容易だった。なんせ彼女は美人なのだ。規格外にな。 ま、これはあいつが天使と呼ぶのもうなずける。 ほら、現に羽が…。って羽ぇぇぇぇぇぇ⁉ 目をこすってみてみるが、彼女の背中に確実にが生えている。 自分で言ってみてもよく意味が分からない。が、ともあれ他の人は何とも思っていないようだしこれは最近の流行りなのかもしれない。 「や、すまん。待たせたか」 俺が驚きつつも声をかけると、笑顔でこちらに走ってきた。 「あ、やっと来てくれた」 「ああ。ごめんな、待たせたみたいで」 「ほんとだよ。私がここに来たことわかってるならその時点で来てくれてもよかったのに」 「いや、でも時間には間に合って…は?」 「ふふーん、GPSのことなんざ知ってたわよん。それとあなたの裏家業のこともね?」 まずいな。この女、とんでもねえ女狐野郎じゃねえか。このままだと組織に消される…。今回の場合、情報漏洩に加え、依頼未達成も加わるだろうし、何よりここまで知られているってことは本当は実家の稼業についても彼女は知っているのではないか…というか確実に知っているだろうな…ということは今回は組織側の調査不足か…? 「ううん、君たちの調査は完璧だったよ?」 「そうか、ではなぜ…」 ってなんだ今のは…あいつ、心でも読めるのか? 「うん、そうだよ」 ほう…そうか。ではなぜわざわざ日本に来る必要があったのかな。心が読めるならフランスでも十分に生きることができただろうに。 「それはね…色々あって」 色々ね…。 「あ、でも、日本に来たのは偶然じゃないよ?ちゃんと目的があってきたんだから」 あっそ。じゃ、どうぞご勝手に。さっさとその目的とやらを達成して早く帰りやがれ。 「君ね、だんだん本性出てきちゃってるよ?大丈夫」 心読まれてるんだし、取り繕っても意味ねえだろ。 「それはそうかもだけどさ…。」 なんだよ?何か言いたいことがあるなら早くしてくれ。俺は貴重な休日を無駄にしたくないんでね。 「ひひひ、ひどいよおお」 涙目になっても通用しないぞ。俺は暗殺を生業にしてるからな。そんなのは見飽きてる。 「はー、まあいいや。平世晴。あんた、さっきから違和感に気が付かないわけ?」 なんだ?違和感?そうだな…妙に静か…⁉⁉ 周りを見渡すと、動きがなかった、というか音もなく…。 「どうかしら?やっと気が付いた?」 「なんなんだこれは?少なくとも手品とかの類でないことはわかるぞ。フラッシュモブとやらも違うな。液体が空中で止まってる」 「そうね。でも超常現象と呼ばれるようなことが現実に起こっているのに君は動じないのね」 「そうだな。確かに興味深いが、俺の眼をかいくぐってその力の一端も見せないようにしていたお前自身に非常に関心がある」 「まあ、新手の告白かしら?いいわよ、つきあう?」 「は?今のどこが告白なんだよ?というか、じゃあその羽もやっぱコスプレとかじゃないのか?」 「そうよ。これは私の身体の一部」 「つまり、お前は人間じゃないと」 「うん、そうなんだけど理解が早すぎない?」 「物事に対しては常に冷静な判断をっていわれてるからな」 「はー、じゃあ、こんなのはどう?私は実は女神なの!それで、あなたにお願いがあってこの世界にきました!」 「ほー、そうか。で?本当のところは?」
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