4 めんどくさそうな予感

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4 めんどくさそうな予感

「は?」 俺は思わず、声を出してしまった。 「だからな、お前に仕事をだな…」 「それは理解した。でもそれが護衛ってどういうことだよ」 「はー、もう一回言うぞ?今回の任務についてはお前にしかできない。今回のターゲット、いやこの場合護衛だから表現がおかしいが、護衛対象がお前の学校に来る。で、その子の護衛をお前に任せたい」 よし。やっぱりめんどくさい。それに学校に仕事を持ち込みたくない。 「やっぱりいや、」 「ちなみに報酬はこのくらいの予定だぜ?」 「了解した、引き受けよう」 高校を出たら一人暮らししたい俺にとって、お金は必要だ。子供のころから貯めてはいるが、まああるに越したことはない。それにいくつかの武器を補充しておきたいしな。 「そうか、引き受けてくれるか。ははは」 「で、詳しく教えてくれ」 「ああ。まあ、ここに依頼が来る当たり、わかっているだろうが訳アリでな」 「要点だけでいい」 「相っ変わらずドライだな。ま、いいや。今回留学生としてお前の学校に来る生徒の名前は七夕(たなばた)クララ。」 「偽名だろ?」 「ああ。本当の名はパスカル・オブ・フォルジェ」 「おいおい、それって」 「そう、そゆこと。な?訳アリだろ?」 「はー、やっぱやめようかな。めんどくせ」 「ここまで話聞いたらもう戻れないってこと、わかってんだろうが」 「へいへい。でも護衛で仕事は受けないんじゃなかったのか?」 「もちろん。俺らは暗殺者だからな。彼女を狙う刺客達を暗殺してくれって依頼の形をとった」 「要は資金が足りないからどんな形でもいいからこの依頼を取りたかったと」 「…ノーコメントで」 来週から学校でも仕事か。でも転校生と仲良くしてたら目立ちそうだな…。 「そうそう、言い忘れてたけど彼女自身はなんで日本に来る羽目になったのかも、彼女の父親の仕事も知らない無垢な少女だから」 「は?あっちで狙われなかったのか?」 「護衛が、ね」 「あー、つまりあれか?仲良くする必要はない。とにかく裏から守れと」 「そゆこと。よろぴくね?」 「キモいぞ」 えーん、ひどーいとか聞こえてきたけどムシムシ。 結局めんどくさいことに変わりはなさそうだが、まぁお嬢様とお友達ごっこをしなくて済むならそれはありがたい。
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