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佐橋はすぐに見つかった。
居酒屋から至近距離にある駅の改札口。
傘を畳み、雨空を見上げる佐橋の表情は、
先程とは打って変わって不安に沈んでいる。
「佐橋」
だから迷わず近づき、声をかけた。
「‥‥あ、岸野」
「用事って何だよ。誰かと会うのか」
と遠慮なく斬り込むと、
佐橋は息を吐き、静かに答えた。
「わかってるなら邪魔しないで」
「人を待ってるにしては暗い顔だな。
新歓を途中で抜け出すくらいだから
それなりに大切な人なんだろ?恋人?」
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