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伝説の剣として世界的に有名なものといえばアーサー王のエクスカリバーでしょう。石に刺さっていたとも、湖の乙女から授けられたとも言われています。
エクスカリバーに関する最古の文書は9世紀ごろのもの、ということですが、アーサー王伝説じたいはそれよりももっと古い、キリスト教到来以前の時代に起源をもちます。
私たちが知るアーサー王伝説は、中世騎士物語の影響を受けて作られたもので、本来のものとは別物になっていると言っていいと思います。
エクスカリバーもマーリンも、円卓の騎士についても言及のない、荒々しい元型的な神話群の中では多くの場合、アーサー王は若い戦士に試練を与える強大な何者かです。
ケルト人は紀元前から剣を使用していたようですが、おそらくエクスカリバーも、私たちがイメージするようなものではなかったでしょう。
クー・フーリンの武器、ゲイボルグに関する伝承は、エクスカリバーよりも古い時代のものが伝わっているように思います。
電のような形を刃を持ち、投げれば30の鏃となって降り注ぎ、突けば30の棘となって破裂する、ということになっていて、槍と名付けられてはいますが、神的な力の象徴としてとらえたほうがいいようにも思います。
ゲイボルグはクー・フーリンの死後、海に沈められたと伝説の一つは語っています。
本邦、アイヌの伝説に現れる「光り輝く剣」も最後、湖に沈められたと伝えられており、元型的な一致をみることができます。
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