黒髪の君へ

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 「ユウカって一生、人間と結婚出来ないと思ってたよ。」 私のヴェールを整えながら、アユが笑い混じりに言った。 「好かれるものと言えば、G、毛虫、蜂、ミミズ、蛙、イモリ、ヤモリ、あとは……とにかく虫系にしか好かれなかったもんね。」 「私もびっくりしてる。ちょっといい感じの人ができても、すぐ引かれたり嫌われたり。彼みたいな人、はじめて。」 本当に大変な半生だったなぁ。何度も何度も落ち込んだっけ。 「と・に・か・く!いい人が見つかってよかったねえ。」 鏡の中でアユが涙混じりにニヤニヤしている。その横に映っている私もおんなじ顔だ。幸せだなあ。
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