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ごめんね
ミリキアの乗っている電車は幹線道路をまたぎ、フェリの歩いてきた歩道と並走しはじめた。
それに合わせるかのように速度を落とし、
「間もなく〜、ナウス町。ナウス町でぇす」
と車掌が放送を入れた。
ミリキアはドキドキしながら、駅に近づいていく景色を眺めていた。
遅刻はバレたくないし、せっかくショッピングに行くのに財布を持たずに出かけることになるのも嫌だった。
イケナイことをしている自覚はあった。
財布を預かってくれていたフェリを散々にたらい回しにし、挙げ句の果てには入場券まで買わせてしまった。自分の財布の中身を使わせたにしろ、余計な手間をかけさせたことはミリキアを後悔の渦に叩き込んだ。
しかし、一方で罰金の奢りジュースが帳消しになるのなら、ハッピーエンドだとも思っていた。
約束を守れない事が重大だった。小学生の頃に出会って以来、何度も遅刻を重ねた。
向こうはその癖を理解して、怒るのを諦めてくれているかもしれない。しかし、せっかく時間を割いて会いに来てくれている友達に対して、その諦めに甘えていいのだろうか? と毎度考えていた。
毎回、ごめんね。
電車はいよいよホームに入ったが、ミリキアは目を閉じていたため分からなかった。
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