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座り込むフェリ
リルウはベンチに座り、250円のミルクセーキをのんびりと味わっていた。その横でミリキアはフェリにすがりつきながら、ひたすら謝っている。
やがて、ホームには各駅停車の新習志野行きが到着した。リルウとミリキアが数人の客に続いてその電車に乗り込み、閉まるドアの向こうからフェリに手を振った。
電車がホームから出ていき、遠くの景色に溶け込んでいくとともに、ミリキアの財布を届ける羽目になったこと、ちょろまかそうとしていたジュースを奢る話のことを振り返って、どっと疲れを覚えた。
「……俺、何をやってたんだろう」
フェリは力なく入場券を手にしたまま深くため息をつき、ベンチに座ってうなだれた。
いったい、友達とは何だったのか。彼の心は、まるで宇宙の外に広がる無の空間に投げ出されたようだった。
やがて夕方になり、空がオレンジ色に染まった。
帰りがけのリルウとミリキアに鉢合わせ、大層驚かれた。
「まだいたの? フェリくん」
その顔は、戸惑いもあり、若干嬉しそうにも見えた。
フェリは心から安堵し、今日1日が無意味ではないことを確信した。
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