☆01. 出会いは、鮮烈なキスと共に

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 そうしてあたしは彼のことを意識しまいと思いつつ残りの観光を済ませた。  けども、夜、ひとりになって、ベッドに入ると、孤独のあまり、あの鮮烈な感触を探してしまう。  キスだけであんなになるなんて。本気で、感じた……。  いけないいけない。相手は知らない男の子なんだから。あんなキスなんて忘れるの。  といくら言い聞かせても、何度も何度も思い返してしまう。  彼からはあまい花のような香りがした。しっとりと湿っていた朱の色をした唇が与える感触は衝撃的で。いままでのキスはなんだったのかと思えるくらいにすさまじいキスだった。  重ねるだけであんなになるなんて。ディープなやつをされたら意識とんじゃうかも。  ふふ。旅の地で、ひとり、ベッドのうえで笑った。  ――寂しい。    こんなときは、男が欲しくなる。    あたしを振ったあいつは、よくよく考えれば別に、上手でもない、でも、追い込むことが好きなS寄りのよくいる男の子で。それでも、繋がっているときは、嫌なこととかなにもかもを忘れられた。ただの命の塊になって、不条理な日常とかを忘れられた。
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