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「七條圭一くんが、その彼を嫉妬する理由なんてあるのでしょうか」空とぼけて言ってみる。「一緒に仕事をしてみて分かりました。七條くんは、とても気の利く男性で、周りのことを常に気にかけています。優秀ですし、あのビジュアルですから、うちの会社の女性たちにも大人気ですよ。
そんな彼が、……嫉妬をする相手がいるというのが、どうにも、わたしには……理解しがたく……」
すると定さんは覚悟を決めたようだ。どうせ、著書を読みまくって探れば分かることでもある。
「旦那様は、政略結婚をなさったんです。七條の一族を更に繁栄させるために、……それまで運命の相手だと決めたお方がいらっしゃったのに、泣く泣く縁を切られたんです。
おそらく、その女性のかたとのお子かと」
「七條明氏は、血を分けた子どもたちを認知し、分け隔てなく育てたと……著書からそのことが伺えますが。となると、圭一くんのことも相当可愛がっていたと推察されますが」
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