☆16. ドッペルゲンガー

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「さようでございます。……が、やはり、自分の父親が、本気で愛しぬいた女性の子どもとなると、特別な感情を抱いておられたようで。なにをしても敵わない、どうあがいても追いつくことの出来ない存在に……悩んでいた様子は見られました。  常に勝てない敵が常にいると、……こぼしておいでで」  七條明氏は、鏡美明なる女性を愛していた。  名前こそ著書には出てこないが、それでも著書には、結婚前に特別な存在がいたことが明かされているし、インターネットで調べまくっていたら突き当たった。定さんが言っているのがおそらく鏡美明さんと、その子どものことだろう。  もし、自分の父親が、浮名を流し、子どもをどんどん作って認知しまくる好色男である一方で、婚前、本気で愛した女性がいたとしたら? しかも、その子の存在を知らず悔やんでいると知ったら……。  どれほどの苦しみだろう。
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