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「デパートと来たら、あの店に行かなきゃでしょう」また白い歯を見せて軽やかに笑う。彼の作り上げるリズムに、魅了される自分がいる。「高麗人参のエキスの入ったあのスキンケアラインとか。今年リニューアルされたんだよね。おれも見たいと思っていたんだ。一緒に行こ?」
手なんか差し出してくるから。繋いでみた。
びびびと電流の走る感覚。……うわ、このひと、女殺しだわ。
並んでそっと見上げた。あなたは花のように美しく笑い、
「行きましょうかお嬢様。数々の宝石のようなコスメが、あなたを待っていますよ」
最初はふてぶてしいほどの態度を取っていたくせに。異国の王子様のように、優雅に言ってのけて、あたしをリードするのだった。
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