☆01. 出会いは、鮮烈なキスと共に

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「うわぁ。すっごいテクスチャー。こっちもいいなぁ」  高級美容品店にて。カウンターにて色々と試させて頂いている。  化粧下地はピンクと水色の二つがあって。ううん。迷う……! 水色って最近の流行りの下地の色だしトーンアップ効果がすごい。でもこのピンクの艶めいた感じも絶対綺麗!  目のくらむようなゴージャスな店内に売られるのは高級なコスメばかりでスキンケアラインなんて導入美容液一本で一万六千円もする。うわわ。 「花はどっちも似合うよなぁ……」なんて言っている隣のあなたは、「じゃ、これは保留にして。もっと他も見ようか?」 「あ……うん……」 「どしたの?」 「ううん」とあたしは首を振り、「なんかね。……男の人とコスメ見るのって初めてだったから……元カレはこういうの、好きじゃなかったから……」 「おれはコスメが好きだし、花の好きなものは全部まるごと好きになる覚悟がある」 「すごいね……その自信。どっから来るの?」  するとあたしに手を差し出すあなたは、ふっと花のように笑い、「花が知らないだけでおれは花のことをずっと見てきた。伊達に何年も惚れてないんだわ。花。……好き」
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