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手を絡ませ、しっかりとあたしの目を見つめて、「……好き」
う。心臓に悪いわこのひと。なんでひとの目をじっと見て照れずにそんなことが言えるのだろう。
あたしの知る限り、こんなに好き好き言う男の人っていないんだけどな。
また、元カレと比べてしまう……。
「花が、おれの気持ちをまだ受け入れられないでいるのは分かっている」とあたしの手を引いて歩き出す彼は、「時間が必要なんだよな? ま、せっかく好きなもの見に来たんだから今日は思いっきり楽しもうぜ。な?」
思えば、このひとが、あたしのからだ目的とかやましい目的があるのならば、いくらでもチャンスはあったはず。
あたしをどこで知ったのか。何故知っているのかは置いておいて。紳士のように、嫌な顔ひとつせず、女の買い物につきあってやって、店内を案内してくれるあたり、悪い人ではなさそうだ。
「ここはスキンケアラインがすごいんだよな。……な、一個十万するクリームあるはずなんだけど。見に行く?」
うわ。そんなすごいものが。「うん。見たい!」
* * *
ちょっとそこでなんか見ていて。
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