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「なんで、……ついさっき会ったばかりの他人のあなたにそんなこと言われなければならないんです――」
しかし、言葉は続かなかった。
息を、奪われていた。見開いたあたしの目にに入るのは、長い長いまつ毛。閉じた瞼の白さ。キスをする男の表情のすさまじい官能をこの目に見た。
「ん、んっ――」恐ろしい、この男。見た目がいいだけではなく、テクもすさまじいと来た。唇を合わせただけですさまじいほどのエクスタシーに貫かれる。
キスだけでこんなになるなんて、初めてだ。
たまらず目を閉じると視界が真っ赤に染まる。鮮烈な薔薇の花が咲き誇る。
胸の奥が勝手にぎゅうぎゅう苦しくなって。合わさる唇の湿ったなめらかな感触とぞわっとするくらいの刺激。からだの中枢が撃ち抜かれたみたいで、なんとか彼にしがみつくのがやっと。
腰砕けのキスって、あるんだ。正直に言う。気持ちがいい。
があたしはなんとか彼を頑張って両手で突っ放した。「なにするんですかあなた!!」
すると彼は悪びれる風もなく、「これで他人ではない」
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