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馬鹿みたいじゃないですか。
LINEなんて放っておけばいいのに。いちいち……メールなんかにも丁寧に返信をしちゃって。
本当に、……馬鹿です」
「七條くん。……いまのは」
好きにしか聞こえなかったよ。
とささやくように言うと七條くんは意外にも顔を赤らめた。「いやっそんなっ。ぼくはただ……第一神崎課長は男ですよ? 職場の男の上司に恋愛感情を抱くなんて、あってはならないことです……」
その口調からするに、七條くんが、神崎課長に、特別な感情を抱いているのが明らかだった。
「恋に、性別は関係ないよ」
*
「……K。
今日、職場の七條くんと話せたよ。……あなたにそっくりな男の子なの」
一日の終わりに、ヨガをして、日記を書いてから、韓国で撮った写真を見ながらあなたに話しかけるのが習慣化している。
「七條くんとあんなにも似ているっていうことは、……K。あなたは、七條と繋がりのある人間なのよね。
うちの会社に出入りする営業に、少なくとも、七條の名を持つ人間はいない。
あなたは、神崎課長ではない。七條圭一くんでもないことは確か」
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