☆15. 真相

3/13
前へ
/128ページ
次へ
 せめて、写真の一枚だけでも撮っておけばよかったのに。つくづく悔やまれる。  あんなにも狂おしく愛してくれたあなたの正体を知らない、自分のことがもどかしくて仕方がない。 「待っていればまた……会えるの?」あなたに貪られた唇に手が伸びる。「また会える、って言ってくれたよね……あたし、信じているのよ。  あたしをこんなにしたあなたが、あたしを放っておくはずがないって」  *  何気なく商店街を通っていてびっくりした。  ガラス張りの美容室で、髪をカットされているK、あなたがいたのだから。  * 「ごめんねー。なかなか会えなくって」 「もう、……二度と会えないかと思っていたよ」 「ごめん」と公園で、ベンチに座るあたしの前に跪いたあなたは、ペットボトルの蓋を開くとあたしに差し出し、「……暑いから、飲みな?」 「あなたは、どこであたしのことを見ているの?」 「こんなに暑いと熱中症になっちゃうよ。……話は手短にしよう」 「会社の中。それとも、出入りする業者? ……ねえ、K。あなたは、どこであたしを見つけたの?」
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

662人が本棚に入れています
本棚に追加