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さて。七條明氏の大体の事情を頭に叩き込み、刑事は頭を動かすのではなく足を動かすものだ。というメソッドに則って、七條本家の邸宅があるという東京都はM区にやってきた。ここいらはヒルズなど高層マンションやビルが有名であるが、徒歩十五分ほどの距離に巨大な邸宅がそびえる。日本のみならず世界に七條の名を知らしめた荘厳さを感じさせる一軒家だ。
勿論正面から入っても相手にされるはずがないことは分かっている。
M区のRという街は、駅界隈は華やかである一方、歩いて十五分もすれば高速道路や、昔ながらの古びた一軒家が乱立していたりと独特の世界観を形成している。昭和の頃をイメージさせる、赤ちょうちんの居酒屋や床屋の並んだ商店街があったりして。
先ずは町の定食屋へと入ってみた。のれんをくぐり、がらりと引き戸を開くといらっしゃいませとあたたかい声がかかる。ふくよかでやさしそうなおかみさんと思われるかたにお勧めを聞いてみると、サバの味噌煮込み定食とのことだった。
――亡き七條明氏も好んだ食事だ。
先ずは味わおう。体感することでなにか、……分かるかもしれない。
七條明氏は、少なくともビジネスの世界では大成功をしていた。後悔が残るとなるとおそらく女性関係。
かつ、七條圭一くんが、嫉妬を抱いてうちの会社に入社したとなると、……やはり、隠し子と考えるのが妥当か。
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