☆15. 真相

11/13
前へ
/128ページ
次へ
 一口にうちの会社に出入りする業者といっても、数えきれないほどにある。運送業者、郵便局、ウォーターサーバを補充する業者、お菓子や自動販売機を管理補充する業者、コピー機の故障対応も行うコピー用紙やトナーの補充を行う業者、それに、フロアやトイレの掃除をする清掃会社……。これら全員の名前を把握するのは不可能に近い。  その膨大な可能性に当たるよりも、社内にいるかどうかを判明させるのが先に思う。仮に、Kが運送会社の人間であれば、一日数回顔を出すかも分からない、そんな相手のためにうちの会社に入社する? 考えられない。  別に入社動機はなんだっていいはずだけれど、にしても、七條圭一くんは、嫉妬して入社した。となると、感情のなにかしらの引っかかりがあることは明らかで。七條明氏の生前の言動から察するに女関係……。  しっかりとサバの味噌煮定食を味わい、いったんトレイをすこしどけさせて頂いて、七條明氏の著書を呼んでいると、声をかけられた。 「あら。……お嬢さん、あなた、七條明先生をご存じで?」
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

656人が本棚に入れています
本棚に追加