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一口にうちの会社に出入りする業者といっても、数えきれないほどにある。運送業者、郵便局、ウォーターサーバを補充する業者、お菓子や自動販売機を管理補充する業者、コピー機の故障対応も行うコピー用紙やトナーの補充を行う業者、それに、フロアやトイレの掃除をする清掃会社……。これら全員の名前を把握するのは不可能に近い。
その膨大な可能性に当たるよりも、社内にいるかどうかを判明させるのが先に思う。仮に、Kが運送会社の人間であれば、一日数回顔を出すかも分からない、そんな相手のためにうちの会社に入社する? 考えられない。
別に入社動機はなんだっていいはずだけれど、にしても、七條圭一くんは、嫉妬して入社した。となると、感情のなにかしらの引っかかりがあることは明らかで。七條明氏の生前の言動から察するに女関係……。
しっかりとサバの味噌煮定食を味わい、いったんトレイをすこしどけさせて頂いて、七條明氏の著書を呼んでいると、声をかけられた。
「あら。……お嬢さん、あなた、七條明先生をご存じで?」
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