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☆00. Prologue
食らったらひとたまりもない。
重ねただけなのに。しっとりとしたあまい唇からは鮮烈な電流がほとばしり、脳髄が焼き切れて目の奥が熱くなって自然と涙が湧く。からだの力が抜けてしまいあなたにしがみつくのがやっと。
角度を変え、鼻が当たらない程度にまた湿った唇が重なる。許される寸時のブレスさえも愛おしくて。意識を、鮮明に奪われる。
しびれるような快楽の中で頭の奥が真っ赤に染まり、鮮烈な薔薇が咲き誇る。
胸の奥はきゅっと締め付けられるように苦しくてそれでもあなたを求めてしまう。もっと、もっとと。
あなたのキスを受けただけでどうしようもなくなる。
出会ったばかりのあなたにそんな腰砕けのキスをされ。運命はもう交差しない……と思い込んでいたのにまたあなたと再会して。
どうしようもなく、魅了されているのは事実だった。
恐ろしく整った顔立ち。知性を感じる眼差し。すらりとした長身。長い手足を持て余すような華麗な所作。流暢な英語。心地よく耳朶を打つ低音の響き。笑った時の無邪気な顔。
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