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 誰もいない家に、先輩を連れて行こうとしてる。  だってだって2人っきりになりたい。  みんなが『百段階段』って呼んでる長い階段になってる道や、密集した家の間の細い道を通ってマンションの裏手から敷地に入った。秋川先輩が僕の肩から腕を下ろす。エレベーターに乗って家に着いて鍵を開けた。  いつもなら鍵を挿し込む音で出てくる母が出てこない。  心臓が口から出ちゃいそうなほどドキドキしながらドアを開けた。 「ただいまー……」  家の中を覗きながら一応声をかける。玄関マットの隅っこに父と母のスリッパが並んでいた。  いない……!  背の高い秋川先輩を見上げて骨張った手首を掴んだ。ドアを開けてその掴んだ手を引っ張ると、先輩は目を見張って、でもすぐに微笑んだ。  そしてうちに入ってくると僕をぎゅっと抱きしめてくれる。 「…保科くん、お母さんたちの買い物って何分くらい?」  先輩の息が耳にかかる。 「い…ち時間か、もっと……、たぶん……」  胸が苦しいほど鼓動が強くて声が掠れた。 「……じゃあ、保科くんの部屋、入らせて……?」  柔らかく甘い声で囁いて、先輩が僕の耳たぶにキスをした。  今朝、部屋どんなだった? 「片付いてない、とか大丈夫だから、ね? 保科くん」  今度は頬に唇が触れる。  もっと……  うん、て頷いたら、頬にちゅってキスしてくれて、先輩は玄関の鍵をパンパンッて閉めた。  靴を脱ぎながら秋川先輩のシャツを引っ張った。緊張と期待で喉がキュッとなって声が出ない。  ……触られるの期待してるの、恥ずかしい  先輩が僕の肩を包むように抱いていて「ん?」って覗き込んでくる。  玄関から近い僕の部屋のドアの前まで先輩を連れてきて、震える手でドアを開けた。  秋川先輩がドアに手をかけてサッと大きく開けて、僕を背中からぎゅうっと抱きしめた。そのまま少し持ち上げられて部屋の中に入る。足が床についた途端、肩を掴まれて先輩の方を向かされた。 「……っ」  大きな手のひらで両頬を包まれて唇が重なった。僕は秋川先輩の広い背中に手を這わせる。啄むように口付けていた先輩が僕の唇をぺろりと舐めた。  唇を開いて、その舌を迎え入れる。  唇を、口角を、歯列を舐められて舌が触れ合ってぞくぞくして気持ちいい。  キスをしながら、先輩が指で僕の耳を弄る。 「…ねぇ保科くん……」  唇をくっつけたまま秋川先輩が僕を呼んだ。薄く目を開けたら、先輩が僕を見ていた。目元が少し赤くなってる。 「日曜日みたいに、してもいい……?  ちゃんと訊かれるとすごいドキドキする。  するんだろうって思ってたのに……、ていうか  したいって、ずっと思ってた 「……し、て……?」  唇をくっつけたままじゃ頷けないから、精一杯頑張って声を出したけどやっぱり掠れた声になった。先輩が一度ちゅってキスしてから、さっきまでより強く僕を抱きしめる。  あ…すごい……、先輩の、もう……  お腹にぐりって当たる硬い感触に身体中がじんじんしてくる。 「ベッド使っていい?」って訊かれて、「うん」って言ったら抱き上げられた。  この前みたいに秋川先輩の膝の上に向かい合わせで(またが)って座って、先輩の首に腕を回してキスをする。 「…ん、んっ」  ベルト、ボタン、ファスナー、全部外されて下着に指をかけられた。  どんな風になるかもう知ってるから、身体が期待してる。 「あ……あっ」 「可愛いね、保科くん」  先、ぬるぬるされるの、きもちい……っ  先輩のおっきい手と性器が、僕の性器に触れている。  自分でするのと全然違う……っ 「も…すぐいっちゃ…っっ」 「ん? いくの? いいよ?」 「……あっ」  少し強く擦られて、呆気なく高いところに連れていかれた。 「ほんと、かわい……」  笑った先輩の息が肌にかかるのもぞくぞくする。 「もちょっとごめんね?」 「あ、あっ や……っ」  達しても萎えない性器をさらに扱かれて腰が勝手に揺れてしまう。  きもちい……っ  1人じゃいけないところまで易々(やすやす)と引き上げられて、頭と背骨が溶けちゃいそうになった。 「好きだよ保科くん。すっごい好き」  蕩けた頭に甘く柔らかい声が注がれる。 「はは、かわい。まだ溢れてくる」 「あ……ん……っ」  もっと触ってほしい  もっともっと  そのおっきな熱い手のひらで僕をとろとろに溶かして……
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